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寄与分とは

寄与分とは、被相続人(故人)の財産の増加や維持に特別な貢献をした相続人に対して、その貢献度に応じて相続分を増やす制度です。
例えば、複数の相続人がいる場合、そのうち一人が被相続人の財産管理や事業の手伝い、介護などに大きく貢献した場合、その人の貢献を考慮して遺産分配が不公平にならないようにするための仕組みです。
寄与分等が認められるための要件
相続人または親族であること
寄与分を主張できるのは、相続人や2019年の改正民法で導入された「特別寄与料制度」に基づく親族に限られます。
内縁の配偶者や友人などは寄与分を主張できません。
被相続人の財産の増加または維持に対する特別な貢献があったこと
寄与分が認められるためには、被相続人の財産が増加または減少しなかったことに対する「特別な寄与」が必要です。
一般的な家事や介護などでは寄与分が認められにくく、通常以上に貢献していた証拠が必要です。
主な寄与分のパターンには、以下が含まれます。
家事従事型
被相続人の事業に無償で従事していた。
金銭出資型
被相続人に対し、財産の増加に貢献する金銭的な援助を行った。
療養看護型
無償で長期間にわたり、被相続人の介護や療養を行った。
扶養型
被相続人を経済的に支え、生活を維持した。
財産管理型
賃貸不動産などの資産を無償で管理し、財産の価値を維持・向上させた。
遺言書で財産の配分が決まっていないこと
寄与分は、遺言書で全ての財産の分配が指示されている場合には主張できません。
遺言がないか、遺言で指定されていない部分に対してのみ寄与分を主張することが可能です。
寄与分が認められにくい理由
特別な貢献の証明が難しい
寄与分を主張するためには、通常の行為を超えた特別な貢献があったことを証明しなければなりません。
例えば、介護をしていた場合でも、それが法律上期待される範囲を超える特別なものでなければ寄与分は認められません。
裏付け資料を集めるのが難しい
寄与分を証明するための資料や証拠を集めるのが難しいことが多いです。
例えば、介護や事業の手伝いに対して正式な記録や証拠がない場合、寄与分を認めてもらうのは難しいです。
証拠を集めるためには、日常的に記録を取ることが有効です。
感情的な対立
寄与分を主張することで、他の相続人との間で感情的な対立が発生することが多くあります。
寄与分が認められると、他の相続人の取り分が減るため、協議が難航し、家庭裁判所での調停や審判に発展することも珍しくありません。
弁護士に相談するメリット
スムーズな遺産分割協議
弁護士を通じて寄与分の交渉を行うことで、他の相続人との対話が円滑に進むことがあります。
冷静な協議が期待でき、寄与分を認めてもらえる可能性が高まります。
将来的な寄与分の備え

相続がまだ発生していない段階でも、弁護士に相談することで、現在の活動が将来寄与分として認められる可能性があるかどうか、適切なアドバイスを受けることができます。
これにより、寄与分の認定を意識した行動が取れるようになります。